受け身の転職活動
知人のある男性（29歳）が、悩んだ末に転職を決意して活動を始めたのですが、転職活動のやり方が受け身で、なかなか応募したい会社にめぐり合えていません。
どのように受け身かというと、やっている事がたった２つだけ。
人材紹介会社２社に登録して求人の紹介を待つ、転職サイトに登録してスカウトが来るのを待つ。この２つのアクションだけで、他は特に何も行っていません。
自分から探すというよりは、待っていて、声のかかった中から決めるスタンスなんです。
これではせっかくの可能性を自ら狭めており、非常に勿体ないです。
なぜこういう受け身のやり方をするのか聞いてみたら、３つほど問題がありました。
人材紹介会社はオーダーメイドサービスではない
まず１つ、彼は少々希望的な観測をしていました。
人材紹介会社に登録しておけば、彼にふさわしい求人案件を、彼のために探し出して来てくれるという誤解です。
彼の登録した2社はどちらも社員数10名足らずの人材紹介会社なので、保有している求人案件数に限りがあります。勿論いい案件があれば紹介してくれますが、1件も紹介されない可能性だって十分あり得ます。
人材紹介会社のビジネスは、基本的に手持ちの求人案件と登録した求職者を結びつけるものでです。希少価値の高い優秀人材ならともかく、彼のような営業畑出身の若い求職者1人のために、わざわざ新たな求人案件を探し出すことは通常ありません。
人材紹介会社を活用する場合、少なくも大手２社と、自分の職種や業界に強い中小規模の人材紹介会社3～4社に相談して、良い求人と巡り合う確率を上げましょう。
転職の基本は自分の理解から
彼が受け身の活動になっている更に本質的な問題は、自分に対する理解不足です。
「自分が何をやりたいか、どんな環境でどのような人達と働きたいか」等について、実は自分自身の考えが定まっていません。
定まっていないから能動的に動きようがなく、結果として人から声がかかる案件を待って判断するしかないのです。
転職に偶然性の要素があるのは悪い事ではありませんが、自分自身に考えがないと、良い偶然を引き寄せることも難しいです。
先日ランチついでに湯島天神に立ち寄りました。写真のように、合格祈願の絵馬から受験生達の祈る気持ちが伝わってきます。そんな中にポツリ、ポツリと ” 転職祈願 ” の絵馬があることにびっくりしました。「○○会社に必ず転職できますように」と明確な希望会社名を記していました。
転職活動には色々な方法がある
3つ目の問題は転職の手法に関する知識不足です。
転職というと、求人サイトに登録したり、人材紹介会社に登録するのが一般的ですが、実は他にも沢山の方法があります。
経験豊富な方からすると当たり前の方法ですが、受け身の彼のようなタイプは、意外とこういう攻めの手段を知らずにチャンスを逃しているものです。
具体的にどんな方法かというと、
- 今も昔も、転職で最も成功しやすい手段は「知人の紹介」です。採用する側もされる側もお互いの人となりが分かっているので安心感があり、成功確率が高い方法です。友人やかつての上司の繋がり、家族親族の繋がり、取引先の紹介というのもあります。（既に離職中の方は特に）色んな方に挨拶して回るといいでしょう。
- 今はソーシャル上のつながりによる転職も盛んです。緩やかなネットワークに対して、自分がどんな事をやりたいかメッセージを発信すれば、思わぬ所と縁ができる可能性があります。
- 転職サイトなどに掲載されている求人情報は、世の中にあまたある求人のごく一部でしかありません。興味ある業界や会社のホームページを見れば、意外な求人が出ている場合もあります。
- どんな会社も、意欲的で能力の高い人材は欲しいものです。求人情報として表に出ていなくても、潜在的に人が欲しい会社は山ほどあります。 興味ある会社なら、募集しているか否かにかかわらず、駄目もとで自分から履歴書を送ったって構わないのです。
転職活動する人の多くは在職しながらの活動なので負担もありますが、省エネし過ぎるあまり、受け身の転職活動を展開し、ごく限られた選択肢の中から選ぶのは得策ではありません。
納得いく転職のためには、まず内定を獲得する目標時期を定め、それまでの間は能動的な手法もガンガン駆使しながら、少しでも多く面接を受ける事をお薦めします。
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竹居淳一 プロフィール：susume.co.jp/blog/page-65
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