転職活動している人や就活中の学生にとって、企業を選ぶ際に何を軸に判断したらいいか迷うものです。
私が重視すべきと考えるのは、その会社に入社した人の「離職率」です。離職率が高いか低いかは、会社が自分に合う可能性を示す一つの重要参考データです。
会社選びのポイント
入社する会社を見極めるには、以下のように沢山のポイントがあります。
- 企業規模、事業内容、業績、業界における位置づけ、成長性、財務状況、株主構成
- 仕事内容、責任、ノルマや目標
- 成長可能性、キャリアの発展性
- 企業カルチャー、経営者の考え方、働いている社員の雰囲気や活躍度合い、面接官の印象、上司になる人との相性
- 給料、残業時間、休日、福利厚生
1と5は公表データや業界情報、ネット上の評判などから比較的得やすい情報ですが、本当の姿を把握するには限界もあります。
2は面接の過程でしっかりと質問してズレがないよう確認すべきですが、入社してみないと分からない事もあります。
3は皆重視しますが、会社間の比較が難しいです。もっと言うとどんな会社に入っても本人次第で成長は可能です。
4は肌感覚で「合う合わない」といった正にソフト情報なので、社外の人にはなかなか分かりません。面接で会う人は社員のごく一部なので、その人の印象が良くても他の社員がそうとは限りません。しかも面接の時はお互いいい顔を見せ合う場なので、普段の姿は違うかもしれません。
理解できる情報には限界がある
私が言いたかったのは、1~5の研究が無駄だという事ではありません。
いずれも非常に大事な観点であり、よくよく比較して考えるべきです。けれど外部にいながら会社の本質をつかむには限界があり、相応のビジネス経験や選球眼が求められるのも事実です。
「離職率の高低」は社員の満足度の鏡
そこで迷った時に参考になるのが先ほど述べた「離職率」です。
人が会社を辞める要因は千差万別ですが、そこには1~5それぞれの観点が複雑に絡み合って最終的に退職という決断をしています。
人間関係でやめる人、会社の将来性を案じてやめる人、残業が多すぎてやめる人、色々いますが、離職率が高いという事は1~5の総合的な満足度が低い状態です。
個別のケースを見れば、「離職率が高い会社だけど僕にとっては最高の環境」という事だって当然ありますが、平均的な満足度は低い筈です。
なぜなら入社する会社はくじ引きで選んだわけではありません。大人同士が面接を経て、「会社にとってふさわしい人材、自分にとってふさわしい会社」と相応判断して入社しているのに、沢山の人が辞めるのは普通に考えておかしいです。
会社の考える欲しい人材と実際の仕事にギャップがあるかもしれません。沢山採用してから競争させて落としていくスタンスかもしれません。
「離職率」を見る上での注意点
就職先選びで迷った時には、是非「離職率」を参考にしてみて下さい。
分かりやすいのは、ある年度に入社した人が1年以内、2年以内、3年以内に何%が退職しているかのデータ。又は年度末に在籍していた人のうち、何%が翌年中に退職しているかのデータです。
ただし単年度の数字を見るだけだと異常値もあるので、数年分のデータを把握した方がいいと思います。自分が配属される部署のデータもある尚いいです。
「離職率」を隠す会社はちょっと不安ですね。「離職率」が高いなら、別のメリットや長所、もしくは離職率を下げる対策や取組みを語るのが誠実な会社です。