日本は転職市場が未熟
日本は「転職者の満足度」も「給料が上がる人の割合」も他国に劣っており、転職市場がまだまだ未熟で上手く機能していないと、改めて思い知らされました。
私も以前は求人業界の人間だったので、自戒の意味も含めて、この業界はもっと求職者のためになるビジネスに変わっていかねばなりませんね。
G7の先進国にBRICSなどを加えた13ヶ国の「求職トレンド調査 2015」が発表されました。(Source:ボストンコンサルティング&リクルートワークス研究所)
日本の転職市場特有の現象が浮き彫りに
転職して給料が上がる人の割合は23%、13ヶ国中断トツで最下位。
他国平均は56%、中国は76%で高すぎ。日本の転職者の62%が「転職しても給料は変わらない」
「日本人が転職で大切にするのはお金じゃない」と思う人も多いでしょう。
ではお金はともかく、転職していい仕事につけているでしょうか?
転職して「仕事満足度が改善」した人の割合は57%で13ヶ国中最低。他国平均は75%
何と・・こちらも13ヶ国中最低。。転職したのに給料が上がらず、仕事満足度も改善していなければ、その転職は一体何だったのでしょうか?
転職はそれでなくてもエネルギーを使い、ストレスもかかるイベントなので、とても勿体ないことです。
インターネット経由で転職先を探した人の割合は25%で13ヶ国中2番目に低い。イギリスは52%
どこの国も転職はインターネット利用が当たり前の時代。
日本の25%は実感値より低い印象はありますが、他国に劣るのは当然です。
なぜなら日本のインターネット求人サイトは世界的に見て非常に値段が高いので、お金を出せる会社が限られ、結果としてサイトに掲載される職種数が著しく少ないからです。
メジャーサイトに求人広告を出す場合、中国は最低約2万円から複数職種の募集が可能、米国は1職種約4万円~、日本は1職種約20万円~。日本が圧倒的に高価格です。中国の20~30倍(中国の人件費は日本の1/2~1/3)、米国の5倍です。
掲載求人数を比べると仰天ものです。掲載情報の精度に差があるとはいえ、あまりの差ですよね。
・米国のメジャーサイトの掲載求人数:約35万件 (日本の58倍) ・中国のメジャーサイトの掲載求人数:約250万件 ・日本のメジャーサイトの掲載求人数:約6000件 |
つまり日本の求職者は、非常に限られた選択肢から選ばざるを得ない状況なのです。
日本は公的機関(ハローワーク等)経由で仕事を探す人の割合が圧倒的に高く24%。他国では5%もない
このデータも物語っています。
日本は民間事業者がカバーできていない中小企業の求人市場が大きいため、公的機関が補完せざるを得ないのです。
本来インターネットの強みはロングテールにあり、中小企業が人材の募集を可能にできるのが良さですが、日本の求人ビジネスはそこまで成熟していません。ベストセラーだけ売ってるamazon.comみたいなものです。
だから転職する人は、既存のメディアや人材サービスだけに頼ってばかりでは駄目なんです。もっと自分で工夫しなければなりません。
会社に直接売り込んで転職する人の割合が日本は13ヶ国中最低の7%。フランスは27%
他の国の求職者は、自分が興味ある会社を調べ、仮に募集していなくても自ら売り込みをかけています。
営業職の人なら仕事で当たり前にやっているように、ニーズが顕在化していなくても、実は仕事のチャンスは幾らでもあります。そういう積極性が日本の転職者には足りません。
インドは知人や家族の紹介による転職が70%、日本は13%、他国は10~20%
インドがここまで突出している理由はわかりませんが、使えるコネを存分に使って仕事を探す貪欲さも大事ですね。知人の紹介による転職は一般的に満足度も非常に高いので。
日本は終身雇用を前提とする転職後進国だった歴史が長いので、転職市場はまだまだ未成熟です。
転職する人はその事実も理解した上で、いかに良い出会いを得るか、大変ではありますが色々工夫して頑張って頂きたいと願います。
【参考にした「求職トレンド調査 2015」はこちら】
http://www.works-i.com/pdf/151216_jst2015.pdf
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