終身雇用型企業ランキング
就職・転職のリサーチサイト「Vorkers」を運営しているヴォーカーズさんが「幸せな終身雇用型企業ランキング」を発表しました。
（平均勤続年数と社員の声を元に作成されたものです）
ランキングを見るとなかなか興味深いですね。
１位大阪ガス、２位出光興産、３位日本電気硝子と続き、２０位以内にはエネルギー系企業が６社、他は製造業が中心です。
1位の大阪ガスは私が就職活動した20年前も「安定的で給料もいい優良企業」と言われ人気だったので、20年経っても維持できているのは本当に凄いことです。
この先も安定か？
しかし上位企業はこれから30年後も安定した終身雇用型企業でいられるでしょうか？
それぞれ財務体質もしっかりした優良企業なので、簡単に屋台骨が揺らぐ事はありませんが、30年後も維持できている保証はありません。皆さんもそう感じることと思います。
なぜなら、どんな業界もどんな優良企業にも次々荒波が襲いかかるからです。
エネルギー業界
上位に6社もランクインしているエネルギー業界は、ルール（規制）の変化、技術の変化、国際政治動向という荒波に直面します。
エネルギー業界は安定産業の代表格ですが、既に変化の胎動が起こっているのは周知の通りです。
電気とガスがお互いの市場を奪い合えるよう規制（ルール）が変化してきました。電力会社の地域独占も規制緩和されました。
技術の進化により、太陽光、風力、地熱、バイオマス等に加え、シェールガスやメタンハイグレードが期待されています。
仮に新エネルギーへのシフトが進んだ時、従来のエネルギー企業が今のようなポジションにいられるとは限りません。
ＪＴ（日本たばこ産業）
8位にＪＴ（日本たばこ産業）がランクインしています。売上2兆円超、経常利益5000億円の巨大優良企業です。ちょうど昨日、6000億円の巨額買収が発表されましたね。
盤石に見えるＪＴですが、国内は喫煙率の低下と人口減のダブルパンチで市場縮小の荒波です。海外でも喫煙率の低下やたばこ規制の荒波を超えなければなりません。
ＪＴの売上の過半は海外で、既に多国籍企業です。
これまで海外事業の買収を見事に進め拡大してきましたが、ＪＴ全体に占める日本市場の貢献比率は今後益々下がります。
よって役員に外国人が増えていくでしょう。人事制度は世界共通になるかもしれません。
その過程で、果たして日本地区のビジネスは、無風のまま現状の安定を維持していけるでしょうか。
日産自動車
18位の日産自動車は存亡の危機に瀕してルノーの傘下に入った過去があります。
自動車産業は市場の変化、競争が激しく、技術革新も早い業界であるため、安定して稼ぎ続けるのは容易でありません。
近年絶好調だった独フォルクスワーゲンがつい最近排ガス不正発覚で一気に危機に陥ったのは、「盛者必衰の理をあらわす」の典型、この業界の厳しさを物語っています。
「安定企業」とは過去安定していたという事実に過ぎない
「安定的な終身雇用型企業」というのは、過去の安定を表しているだけであって、決して未来も安定という保証ではありません。
しかも将来にわたって安定企業のままいられるかは、一生懸命考えたところで誰もわからず、自分ではコントロールできない事です。
よって個人がやるべき事は、どこの会社にいても着々と自分の力を磨き、何かあっても外で通用する人間になるしかありません。
今日お会いしたネット系企業の人事の方が仰っていました。
「うちに終身雇用を求めて入ってくる社員はいない。若いうちに徹底的に働き、売れる人材になるべく皆貪欲に働いている」
終身雇用型とは真逆の社風ですが、これはこれで魅力的です。
私が大卒後就職した新日鉄は当時、リストラの真っ只中でした。
そんな中で印象的だったのは、新日鉄をやめてコージーコーナーに転職された方がいた事です。
「鉄からシュークリームへ」という大転身でしたが、全く違う業界から請われる実力をお持ちだったのだと思います。
安定的な終身雇用型企業に入ったけど、寄らば大樹にならず、自分を磨いて来たからこそ実現した転身だったのではないでしょうか。
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