先日何年かぶりにノートPCを購入しました。
ビックカメラに行って各メーカーの製品それぞれの特徴を聞いて回りましたが、一番魅かれたのは新型VAIOでした。「ソニーのVAIO」ではなく、昨年ソニーから事業売却されて独立した「VAIO株式会社」のVAIOです。
デザインは勿論、堅牢さ、操作性、シンプルな機能、価格、いずれもエッジが立っていて非常に魅力的。顧客志向が徹底している商品でした。
新生VAIOのクールな変貌
新生VAIOは注文を受けてから工場で組み立てる受注生産方式。以前は店頭販売と受注生産を両方やっていましたが、在庫を持たない方式に絞りました。
ビックカメラでは店頭販促をしていましたが、ヤマダ電機ではVAIOの面影すらなく取引先も限定していました。
コンセプトは「技術者たちよ、モンスターをつくれ」、「自由であるか。愉快であるか。独創的であるか。」 格好いいですよね。
ソニー時代に発揮できなかった開発者魂が炸裂している印象です。
少数精鋭の挑戦
ところで皆さん、VAIO株式会社の従業員数は何人だと思いますか?
何とたったの240人です。一方でソニー株式会社はグループで14万人もいます。
つまり今のVAIO株式会社の社員には、240人分の1の責任とリアルな当事者意識があります。以前は14万人分の1だったので、単純計算で583倍も当事者意識が上昇した事になります。
今の240人の社員はVAIO株式会社が上手くいかなければ仕事を失います。しかし14万人の組織の一部門だったら、そこが赤字でも他の事業で稼いでもらえるので依存心が働きがちです。
新生VAIOの大胆な戦略、チャレンジ精神はこうした組織環境の変化が大きいのではないでしょうか。もしallソニーだったら、店頭販売をやめて注文生産に絞るという決断はできなかったのではないでしょうか。
小さい組織の強さ
VAIO株式会社のホームページにこう書かれています。
「小さなメーカーだからこそできること。本質をとことん突き詰め、そこに独自性を加えた製品を、丁寧につくり届けます」
裏を返すと、「大きなメーカーでは本質がなかなか追求できなかった」事に対する反省が込められているのだと思います。
顧客の夢やニーズを徹底的に追求するのがビジネスの本質ですが、大きな組織になると本質からどんどん外れてしまいます。社員一人一人の当事者意識もどんどん薄れます。
そういう意味では新生VAIOの原動力は、小さな組織、一人一人の当事者意識にあると言っていいでしょう。
小さな組織で働くやり甲斐
今の時代、会社規模が大きいほど有利な業種は限られます。通信、銀行、素材メーカーなどは規模の経済が重要なので大きいほど有利ですが、消費者ニーズに細やかに対応していくビジネスでは小さい会社の方が有利です。
働く人達も「大きい会社の小さな事業部」でいるより、「小さいけど自分達が中心の会社」で働く方がやり甲斐があります。働く事と生きている事の実感がどんどんシンクロしていくのです。
これからは「企業が人を選ぶ時代」から「人が企業を選ぶ時代」に変わっていきます。人材の希少価値が否応なしに上がります。魅力溢れる小さな組織がどんどん力を持つ時代になっていく事でしょう。
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