「働き方改革」は、ここ1年ほど新聞やニュースでその話題を見ない日はないくらい、企業にとって無視できないテーマとなっています。

「残業削減」、「女性活躍」、「同一労働同一賃金」、「在宅勤務」、「週休3日」、「プレミアムフライデー」、「副業解禁」、「ペーパーレス」・・・

働き方改革といってもテーマは多岐にわたりますね。
様々な動きや情報が錯綜する中で、何をすべきか目的を定めかねている企業もあるのではないでしょうか。

 

メディアの情報を冷静にみる

働き方改革に関連してメディアに出てくる話題は大半が大企業の情報であり、中小企業は鵜呑みにできません。

加えて電通事件以降、「働き方改革≒残業削減」みたいな性急な風潮も出てきました。

さればこそ、中小企業は流行や雑音に振り回されることなく、じっくり為すべき事を進めていくのが良いと思います。

 

「同業他社がノー残業デーをやっているから当社も」といった単純な“右倣え”はご法度です。

あまり根拠もないのに、「まずは在宅勤務を取り入れよう」とか、「ワークライフバランスを実現しよう」といったパーツの“つまみぐい”も避けるべきです。

働き方改革は、自社の人材力を最大限に高める好機でもあるので、自社にふさわしい現実的で実効性の高い働き方改革を進めて頂きたいと思います。

 

働き方改革は企業にとって目的でなく手段である

中小企業が働き方改革を進めるにあたり、ぜひお伝えしたい事が2つあります。

  • 目的と手段を混同しない
  • 働き方改革を企業活動全体の中でとらえる

 

1つ目の「目的と手段を混同しない」について。

働き方改革は元々政府主導でスタートしたため、国の意向が色濃く出ています。

国の主たる目的は、人口減少社会への対応です。

人口が減る分1億総活躍してくれないと困るので、女性の活躍、高齢者の活躍、ワークライフバランス、残業削減/生産性向上、所得向上、格差解消(同一労働同一賃金)などが主眼となっています。

 

しかしながら国の目的が企業の目的に一致するとは限りません。

女性の活躍やワークライフバランスは、企業にとって目的ではなく手段だからです。

企業活動の目的はあくまで「持続的な発展」だと考えます。

例えば、

「持続的な発展」のために女性社員の活躍が欠かせないと考えるから、女性が活躍しやすい環境を目指す。

「持続的な発展」のために若手社員のアンテナを外に向かせたいから、副業を解禁する。

若手社員の自律と成長を促すため、中間管理職を一階層減らす。

などなど、各々の会社の目的に沿って、働き方改革を実行していくのが本来の流れです。

外野の声に左右されず、自社の持続的な発展にとって本当に必要な働き方改革を進めていく

「どんな社員がどのように働く会社でありたいか?」 という問いを深く考えれば、自ずと必要なことが見えてくる筈です。

 

働き方改革を考えるための5つの要素

お伝えしたい事の2つめ、「働き方改革を企業活動全体の中でとらえる」について。

働き方改革の話は、どうしても制度やルールの話に偏りがちですが、それは全体の一部でしかありません。

 

私は働き方改革は次の5層から成り立っていると考えます。
1、ビジョンレベル
2、制度/ルール/環境レベル
3、業務レベル
4、マネジメントレベル
5、個の意識/能力レベル


簡単にご説明しますと、

1:「会社にとって社員とはどういう存在か、どんな社員を大事にするか。社員にとっての働きがいは何か」というビジョンが根底に必要

2:制度やルールが先走って議論されがちだが、ビジョンあっての制度

3:業務効率化などを通じて時間あたり生産性を高め続けていく必要

4:働き方の変化は人の評価方法や人材管理、仕事の進め方にも大きな変化をもたらす。仮にマネジメントのやり方が従前と変わらなければ、働き方改革は「仏作って魂入れず」で終わってしまう

5:何より大事なのは社員個々人の意識や能力の向上。働き方改革は会社が与えるものではない。これをきっかけに社員自身が過去の慣習から決別して、自律的な働き方に移行する。そのためには意識を変える必要もあるし、能力も高めていかねばならない

 

2の具体的な議論が先行しがちなのは理解できますが、まずは1をちゃんと定めるところからです。

どんなに立派な制度やルールを作っても、4と5が変わらなければ真の果実は得られません。
時間のかかるテーマですが非常に重要です。
正に経営者の粘り強いリーダーシップとメッセージが必要とされていると思います。

 

働き方改革は自社の人材戦略を根底から考え、実現する良いきっかけなので、皆様の社内でも活発な議論と実践が進むことを願っております。

 

以上、「中小企業は地に足のついた働き方改革を」 でした。