人の学びは、“実際の仕事の経験”から70%、“他者からの学び”が20%、“研修”が10%という考え方にもとづき、前号では70%の学びについてお伝えしました。
(コラム前号:http://susume.co.jp/archives/886

 

今回は20%の“他者からの学び”を社内で促進するためにはどうしたらよいか、考えてみたいと思います。

 

他者からの学びには大きく分けて3種類あります。

「1.上司からの学び」、「 2.同僚からの学び」、 「3.社外の人からの学び」の3つです。

いずれの学びも大切であることは皆様も異論ないと思いますが、いざ人材育成の現場に目を向けると3つがちゃんと機能しているとは限りません。

それぞれ何を意識したらいいでしょうか?

 

1.上司からの学び

部下が上司の仕事の仕方を真似るのは人材育成の王道ですが、「上司がいる=人が育つ」訳ではありません。その育成効率を高めるにはどうすればいいでしょうか?

(部下側の学ぶ姿勢や観察眼が欠かせないのは言うまでもありませんが、ここでは上司側の視点を考えてみます)

 

まず部下を良く育てるのは優秀な上司か否か、どちらでしょうか?

皆様も色んなケースで感じているかもしれませんが、優秀な上司のもとでいい人材が育つ一方、ダメ上司を反面教師として育つ人もいるので、一概にどちらがいいとは言えません。

ただし注意しなければならないのは、ダメ上司を反面教師として育つタイプは、自分に厳しく意欲の高い人です。
普通レベルの人がダメ上司についたら、上司の悪い癖が伝染するばかりなので、配置は要注意です。

 

上司の仕事を観察できる場面が実際にあるかないかも影響します。
仮に上司と接する場が毎週の業務報告会しかなければ殆ど学びようがありません。

上司が取引先と丁々発止の交渉をする姿を横で見たり、上司が社長に提言する場に同席したり、リアルな仕事現場を見ることで鮮烈な印象がインプットされます。

部下の前で模範を示すのを嫌がる上司もいますが、そういう人には定期的に問うて下さい。
「あなたの部下の〇〇さんの今の育成課題は何ですか? それに対して上司としてどのように模範を示していますか?」と。

 

2.同僚からの学び

先輩、同期、後輩など同僚から学ぶ機会を増やすには、少々工夫がいります。

意欲的な人であれば自ら優秀な先輩をランチに誘って教えを請うたりしますが、普通の社員同士の学び合いを活性化するには幾つか仕掛けが必要です。

 

1つは誰がどんな仕事をしているか、どんな成果をあげているかを共有する事です。
(意外と同僚の仕事内容に無関心の人が多いので・・)

業績を貼り出すでも、朝礼等の場で情報シェアするでも構いません。
知らなければ何もおきないので、まず小まめに各自の活動状況を知らせて、マーケティングでいう所の“AIDMA”のAとIを進めることです。

同僚に優れた事例がある事を知れば、その人のやり方を真似てみたいとか、どうやってそんな成果を出しているんだろう?との興味がわいてきます。

 

情報シェアにおいてはもう一段の工夫も必要です。

「先週は訪問商談7件、見積り提出4件、受注1件、確度Aの見込み客は2社でした。以上!」 みたいな結果報告だけの儀式は意味がありません。

結果だけを伝えるのではなく、課題に対してどんな工夫を行い、どんな結果が得られたかを“ストーリー”で示す方が学習効果が高まります。

例えば、「見積り提出に至る顧客が少ないのが課題でしたが、□□先輩のやり方を真似て〇〇の工夫を行ったら、△△の変化があり、最終的に〇〇の効果がありました」 みたいなストーリーだと皆の理解が進み、自分も真似してみようという気になりやすいです。

 

3.外部の人からの学び

1と2で述べた先輩や同僚からの学びは非常に有用ですが、社内からの学びだけでは十分とは言えません。

ライバルが遥かに高いレベルの仕事をしていたら、社内だけで学び合っていても“井の中の蛙”状態ですよね。

しかしながら、多くの企業は外界の動きに疎く、社外の情報を拾うアンテナの感度がよくありません。

社長一人が外部と交流して情報を仕入れても限界があり、個々の社員がアンテナを張り、外部の事例に学ぶ必要があります。

 

どこの会社にも、積極的に社外勉強会に出たり、外部に人脈を広げる人がいますが、意外とそういうタイプは社内で評価されていません。
べったり会社で残業し、夜は上司や同僚と飲みに行く人が“コア社員”として評価されがちです。

勿論“べったり社員”の良さもありますが、変化の激しい時代に外の情報を持ってこれる人材は貴重です。

そういう人材には積極的に外部の集まりに参加させ、その知見を仕事に生かしてもらうべきです。

 

情報源は正社員からだけに頼る必要もありません。

取引先、業務委託社員、派遣社員など外界を知る人達の知恵や情報を集めれば、更に自社の社員を刺激し、視座を上げていけるのではないでしょうか。

 

以上、20%を占める“他者からの学び”を社内で促進するポイントについてお伝えしました。

 

次回は、本シリーズ「中小企業の人材育成は、notお金but知恵」の最終回です。