人の学びは、“実際の仕事の経験”から70%、“他者からの学び”が20%、“研修”が10%という考え方にもとづき、前編では70%の学びについてお伝えしました。

今回は20%の“他者からの学び”を社内で促進するためにはどうしたらよいか、考えてみたいと思います。

 

企業の人材育成では、他者からの学びを上手く活用すべき

他者からの学びには大きく分けて3種類あります。

「1.上司からの学び」、「 2.同僚からの学び」、 「3.社外の人からの学び」の3つです。

いずれの学びも大切であることはあなたも異論ないと思います。
しかし、いざ人材育成の現場に目を向けると3つがちゃんと機能しているとは限りません。

それぞれ何を意識したらいいでしょうか?

 

1.上司からの学び

部下が上司の仕事の仕方を真似るのは人材育成の王道ですが、「上司がいる=人が育つ」訳ではありません。その育成効率を高めるにはどうすればいいでしょうか?

(部下側の学ぶ姿勢や観察眼が欠かせないのは言うまでもありませんが、ここでは上司側の視点を考えてみます)

 

先に1つ質問です。

部下を良く育てるのは

  • 優秀な上司
  • そうでない上司

どちらでしょうか?

 

正解は「どちらがいいとは言えません」です。

曖昧な答えになりますが、通常は優秀な上司のもとでいい人材が育ちます。
一方、ダメ上司を反面教師として育つ。
そんな人もいます。

これはあなたも感じたことがあるのではないでしょうか?

 

ただし注意しなければならないのは、ダメ上司を反面教師として育つタイプは少数であるということです。
それは、自分に厳しく意欲の高い人に限っての話です。

普通レベルの人がダメ上司についたら、上司の悪い癖が伝染するばかりです。

 

上司の仕事を観察できる場面が実際にあるかないかも影響します。
仮に上司と接する場が毎週の業務報告会しかなければほとんど学びようがありません。

上司が取引先と丁々発止の交渉をする姿を横で見たり、上司が社長に提言する場に同席したり、リアルな仕事現場を見ることで鮮烈な印象がインプットされます。

 

部下の前で模範を示すのを嫌がる上司もいますよね。
そういう人には定期的に問うてください。

「あなたの部下の〇〇さんの今の育成課題は何ですか? それに対して上司としてどのように模範を示していますか?」と。

 

 

2.同僚からの学び

先輩、同期、後輩など同僚から学ぶ機会を増やすには、少々工夫が必要です。

意欲的な人であれば自ら優秀な先輩をランチに誘って教えを請うたりするでしょう。

しかし、普通の社員同士の学び合いを活性化するには幾つか仕掛けがいります。

 

1つは誰がどんな仕事をしているか、どんな成果をあげているかを共有する事です。
(意外と同僚の仕事内容に無関心の人が多いので・・)

業績を貼り出すでも、朝礼等の場で情報シェアするでも構いません。

知らなければ何もおきないので、まず小まめに各自の活動状況を知らせて、マーケティングでいう所の“AIDMA”のA(注意喚起)とI(興味をもつ)を進めることです。

同僚に優れた事例がある事を知れば、その人のやり方を真似てみたいとか、どうやってそんな成果を出しているんだろう?との興味がわいてきます。

 

情報シェアにおいてはもう一段の工夫も必要です。

朝礼などの場で、「先週は訪問商談7件、見積り提出4件、受注1件、確度Aの見込み客は2社でした。以上!」 みたいな結果報告だけの儀式は意味がありません。

結果だけを伝えるのではなく、課題に対してどんな工夫を行い、どんな結果が得られたかを“ストーリー”で示すと、学習効果が飛躍的に高まります。

例えば、「見積り提出まで至る顧客が少ないのが課題だったが、山田先輩のやり方を真似て〇〇の工夫を行ったら、△△の変化があり、最終的に〇〇の効果がありました」 みたいなストーリーだとみんなの理解が進み、自分も真似してみようという気になりやすいです。

 

3.外部の人からの学び

ここまで述べた上司や同僚からの学びは不可欠のものですが、社内からの学びだけでは十分とは言えません。

例えばライバル企業が自分達より遥かに高いレベルの仕事をしていたら、社内だけで学び合っていても“井の中の蛙”状態ですよね。

 

しかしながら、多くの企業は外界の動きに疎く、社外の情報を拾うアンテナの感度がよくありません。
社長であるあなた一人が外部と交流して情報を仕入れても限界があります。
個々の社員がアンテナを張り、外部の事例に学ぶ状態を目指しましょう。

 

どこの会社にも、積極的に社外勉強会などに参加して人脈を広げる人がいます。
そういうタイプは意外と社内で評価されなかったりします。
べったり会社で残業し、夜は上司や同僚と飲みに行く人が“コア社員”として評価されがちです。

 

もちろん“べったり社員”の良さも否定するつもりはありません。
しかし、変化の激しい時代に外の情報を持ってこれる人材、外部のネットワークを広げていける人材は貴重です。
ぜひ積極的に外部の集まりに参加させ、その知見を仕事に生かしてもらうべきです。

 

情報源は正社員からだけに頼る必要もありません。

  • 取引先
  • 業務委託社員
  • 派遣社員

など外界を知る人達の知恵や情報を集めると、内部の人間だけでは見えなかったことがたくさん浮かび上がってきます。

自社の社員を刺激し、視座を上げていくために、貴重な存在です。

 

 

企業の人材育成では他者からの学びを促進する

どんな社員にも上司や同僚がいます。

お互いが前向きで刺激し合い、共に育っていく職場がある一方、お互いが我関せず、協力せずという職場もあり、非常に勿体ないと感じます。

日常の仕事において、上司のやり方を学び、同僚の成功や失敗からも学ぶ環境が作れたら、社員は社長の想定を超えてどんどん成長していきます。

ぜひ「他者からの学び」が活性化する職場をつくっていきましょう。

 

 

以上、「人材育成に悩む企業の経営者が知っておくべき人材育成の基本(後編)」でした。