本テーマの第1回では「70-20-10の法則」を紹介しました。

人の学びは、“実際の仕事の経験”から70%、“他者からの学び”が20%、“研修”が10%というものです。
(第1回:http://susume.co.jp/archives/879

今回は最も大きな割合を占める70%部分をいかに充実させるかについてお話しします。

 

仮に同じ能力を持った2人が同時期に転職し、医療機器の営業を開始したとします。
Aさんはa社で、Bさんはb社にて。

担当する業務は一見同じですが、3年後の成長ぶりに大きな差が出ました。

差が生じる主な理由は、70%を占める実際の仕事の経験の“質”と“量”にあります。
医療機器営業という同じ仕事でも、どのように仕事をするかという質と量の部分で成長度合いが変わります。

では実際の仕事を通じた育成効果を高めるには、どのような観点を意識したらいいでしょうか。

 

1.仕事の難易度/工夫の余地

仕事で頭を使い、工夫、改善する機会がありますか?

AさんもBさんも初期は先輩の営業同行や既存顧客のサポートが中心でしたが、Aさんはトラブルの多い難しいお客様を担当。
早々に新規開拓営業もスタートしました。

一方のBさんは2年目に入っても安定取引の続く既存顧客のサポートばかりです。

a社もb社も業務の詳しい手順書がありますが、b社はその手順を遵守して進める事が求められます。
一方a社は手順を守りつつ、その手順が実態に合わない場合は柔軟に変更でき、かつ手順書を顧客ニーズに応じてブラッシュアップする事を求められます。

AさんとBさんの3年後はどうなっているでしょうか?

 

2.仕事の面白み

仕事はしんどい事も沢山ありますが、仕事の面白みに気づいた人は強いです。
他人が強制しなくても勝手に自ら知識を吸収し仕事のやり方を改善し、成果を上げていきます。

先輩社員が仕事を楽しんでいるか、企業文化の影響も大きいですが、仕事の面白みを本人に気付かせてあげられるか否かは大きな分かれ道です。

 

3.目標と測定

本人が心の底から思っている目標はありますか?

「今年はこういう事をやり遂げたい、達成したい」という目標があり、それに向かって努力しているでしょうか。
与えられた目標はあるけど本人に目指す気がなければ意味がありません。

目標が高いか低いかという事より、自分の思いが重要です。

目標を立てたら、その測定も重要です。節目毎に目標の進捗状況を測定し、何が不足しているか、何を改善するか考える場が欠かせません。

 

4.他者からのフィードバック

他者からフィードバックをもらう機会はありますか?

自分の仕事ぶりを客観的に見るのはなかなか難しい事です。
顧客に良かれと思ってしているサービスが実は嫌がられていたり、周囲に配慮しているつもりが、まわりからは全然そう思われてなかったり。

自分では効率良く仕事していると思っているのに、実は同僚と比べて最も業務効率が悪いなんて事もあります。

こういう気付きは他者が指摘しないとなかなかわかりません。

叱咤激励、客観的な意見、具体的な指導などなど、
他者のフィードバックを普段の仕事の中で得られることに意味があります。

年間まとめて1回というよりは、日常の中で小さなフィードバックが沢山ある方が効果的でしょう。(間が空くと、伝える方も忘れてしまうので)

 

5.経験の量

Aさんは年間200社の社長に提案を行い、Bさんは50社だとしたら、顧客への理解力、提案力、得られる情報など、全てにおいてAさんがBさんを凌駕するはずです。

働き方改革の一環で残業がしづらくなっていますが、仕事の能力は経験の“量”に比例する側面があることは否定できません。
特に経験値が浅い仕事を吸収する段階では、「質より量」であることを忘れてはいけないと思います。

 

以上、70%を占める“実際の仕事の経験”を通じた人材育成において、大きな差が生じやすい5つの観点についてお伝えしました。

次回は、上司や先輩・同僚、社外も含めて、20%部分である“他者からの学び”を活用した育成効果について考えてみたいと思います。