昨日、宮崎県の延岡市で「採用難時代の働き方改革」をテーマにした講演があったので、前日に宮崎入りし、高千穂峡を観光してきました。


高千穂峡は約10万年前に阿蘇山の火砕流が流れ下り、その火砕流堆積物が作り出した断崖。
川に沿って100m近い断崖が続き見事な景観でした。

強みが活かしきれない

平日ながら中国人観光客を中心に結構な人出があり、さすが宮崎一有名な観光地です。

しかしながら、ビジネス的には勿体ないと思うことが幾つかありました。

高千穂峡の素晴らしい観光資源、宮崎県ならではの観光資産があるのに、それを十分に生かし切れていない印象でした。

 

観光客が最初に降り立つ地点に幾つかお店があります。
そこには土産物屋と少々さびれた感じのレストランがあるくらいで、テイクアウトで食べられるものが非常に少ないです。

数少ないテイクアウト品はソフトクリームや五平餅など、高速道路のPAでも食べられるようなものでした。

宮崎県の特徴を生かせばもっと色々考えられる筈なのに。。。

例えば、果汁たっぷりマンゴーソフト、揚げたてとり南蛮、地元の美味しくて安全な野菜を使った料理、日向夏の絞りたてジュース、などなど。(素人考えですが・・)

 

その土地ならではの安全で美味しいものを手軽に買えるなら、観光客は喜んでお金を出す筈です。

観光地で何かを買いたくなるきっかけは、その土地に関わるストーリー、その場所でしか味わえない小さな感動だと思います。

 

近くの高千穂神社には、それはそれは見事な夫婦杉がありました。
その周囲を手を繋いで3周すると夫婦円満になるという言い伝えがあり、パワースポット的な厳かな雰囲気です。

いかにも中国人観光客が好きそうなネタです。

上手く告知すれば喜んで来てくれそうですが、実際のところ、ここに立ち寄る人は殆どいません。

誘導する動線とストーリーを上手く作れておらず、非常に勿体ないです。

 

当事者は意外と自分の強みが見えていない

なぜこういう事が起きるのでしょうか?

大きな理由の1つは、自分達の本当の良さ、素晴らしい価値に気づけていないことです。
観光客が何を欲しがるか考えているうちに、逆に自分達の強みを武器にするという大前提がぼやけてしまったのではないでしょうか。

地元ならではの強みを最大限活用しなければ、景観以外、他の観光地と変わらなくなってしまいます。

 

実は同じような現象は企業でもよくあります。

例えば「働き方改革」の議論で、「社員は働きたくてたまらないけど、時代の流れを踏まえると残業制限するしかない」と悩んでいる会社があります。

しかしながらこの会社の最大の強みは、「向上心や成長意欲が高く、とことん仕事に没頭する社員達」だったとします。

独自性の高い商品など他に強みもありますが、何より核となる強みは社員のマインドです。
もし中途半端なメッセージで残業削減を無理強いしたら、この会社の良いところが失われてしまいます。

勿論無駄な仕事は減らすべきで、残業している人が偉いという社風は良くありません。
しかし皆が熱意をもって仕事に没頭するという強みを打ち消すような施策であってはなりません。

法律は守りつつ、いかに社員が仕事に熱中できる状態を作るかをあの手この手で考えるべきです。

 

 

企業は自社の強みを見失ってはならない

社長が社員にとても寛容な会社があります。
失敗しても許し、成果が出なくても待ち、部下から評判の悪い問題上司がいても何とか守ってあげようとします。

これも実は立派な強みです。あまり強みっぽくないかもしれませんが。

こういう社長は珍しいから社員は居心地が良くてなかなか辞めません
社長が守ってくれた恩返しに次こそ挽回しようという社員が後から成功をおさめ、それが発展の原動力になってきました。

 

しかしながら会社が大きくなる過程で、色々言う人が出てきます。
「そんな甘い経営していたら会社は大きくならないよ」。
言われると社長も気持ちが揺らぎます。

 

仮にせっかくの強みである寛容さを抑制し、外資系のような常に結果を厳しく要求される要素を取り入れたらどうなるでしょうか?

恐らくは、外資系ほど徹底した成果追求もできず、本来の強みであった寛容さも失い、どっちつかずの存在になってしまうのではないでしょうか。

 

経営者は企業の強みを伸ばし、弱みは気にし過ぎない方がいい

経営者は常に会社の事を心配しているので、課題(弱み)に目がいきがちです。

しかし、弱みばかり指摘していると社員の前向きな意欲がそがれ、強みまで弱体化します。
会社が大企業へ育っていく過程では徐々に弱みの矯正は必要ですが、中小企業が焦ることはありません。

会社も個人と同じく、いい所も悪い所もあってゴツゴツしていて良いのではないでしょうか。
社長も、商品も、企業風土も、いずれも万人受けする必要はないのですから。

 

 

以上、「”灯台下暗し” ~企業が意外と気づかない自社の強み」でした。