社内から良いアイディアが上がってこない理由

社内で新規事業のアイディアや提案を募っても、いい提案が上がって来ないと嘆く社長は結構多くいらっしゃいます

原因は大きく2つあると思います。

1つはそもそも考えていないからです。

日常業務で忙しすぎるとか、新しい提案をしても上司につぶされるとか、
新しい事をワイガヤする風土じゃないとか、
理由は色々ありますが、考えなければアイディアは出ません。

2つ目は、考えてもらう時の依頼の出し方の問題です。

例えば新規事業のアイディアを募る際、依頼の仕方に2つのパターンあったとします。

a, 「何でもいいから新規事業のアイディアを考えて下さい」

b, 「介護業界で働く人が少しでもゆとりを持ちリラックスできるようなサービス/商品を考えて下さい」

aとbでは、どちらがより良いアイディアが出てくるでしょうか?

aは何の制約もないので自由に考えられます。
趣味の釣りに関する事業でもいいし、ちょうど育児で苦労しているなら育児関連サービスでも構いません
思考が色々な領域に広がって行きますが、広がるばかりで収束しづらくなり、
なかなか深く入っていきません。

bは最初から制約されるので、ワクワクしないかもしれませんが、
テーマが明確なだけに現場の課題を調べやすく、すぐ人に話も聞けるので、具体的なサービス案も浮かびやすくなります。

つまりbの方がより良いアイディアが出やすくなります。

これは個人の能力や発想力の違いではありません。
誰でも一定の制約条件を課された方が、より深く実践的なアイディアが出るものです。

新規事業コンテスト・業務改善コンテストの事例

以前私が勤めていた会社で新規事業コンテストを開催したことがありました。

ある年度はテーマフリーでやったところ、皆の思考が様々なジャンルに広がっただけで、
ビジネスモデルやサービスの検討が甘く、深みのある提案は出てきませんでした。

プレゼンを聞く経営陣の側も、次々違う業界、領域の提案が出てくるため、十分に理解が及んでいませんでした。

翌年、テーマを特定業界の新規事業かつ将来事業規模が〇億円以上という条件を課したところ、
提案の掘り下げが圧倒的に深くなり、より具体的な提案が多くなりました。

 

別の会社で行った業務改善提案コンテストも同様でした。

研修の中で5つのチームに対して、特にテーマを定めず業務改善提案を考えてもらったところ、
表面的な提案が多く、プレゼンでは経営陣が眠たそうにしていました。

2回目の研修では、先ず各チームに会社の課題を思いつく限り挙げてもらいました。
その中から経営陣がより重要だと認識している課題を取り出し、各チームに具体的なテーマを与えました。

あるチームのお題は、「年々上がる物流費をいかに抑えるか、自社でできる事、
外部の委託配送業者側でできる事、それ以外でできる事を考えてほしい」

2回目のテーマはかなり限定されたので、メンバー達は現場で取材を重ねてリアルな課題を把握し、
実際に採用されるアイディアが出てきました。
プレゼンを聞く経営陣も前のめりでした。

アイディア創出は一点突破の集中から

人の頭脳も時間も限られた資源です。

限られた資源を最大効率で活用するには、同じ時間内であれこれ拡散して考えるより、
1点突破で集中して考えた方がアウトプットの価値が上がります。

加えてビジネスにおけるアイディアは、思いつき(ジャストアイディア)では役不足です。

ジャストアイディアをいかに実現可能なプランに落とせるかが勝負なので、脳味噌フル回転、
とことん集中して深く考え、アイディアの精度を高めるやり方にこだわるべきです。

 

なお会社が社員からのアイディアを期待する際に忘れてならないのは、依頼する側が考えをしっかりまとめることです。

「何でもいいから新規事業を提案して」というのは、社員に会社の方針を委ねているようなもの。

新規事業を進めていきたいのであれば、どのマーケットに着目し、どんな類の事業をやっていきたいのか、
(大枠であったとしても)方針を定める事がファーストステップです。

 

以上、「優れたアイディアは制約の下でこそ生まれる」でした。