皆さんの会社では現在、社内横断型のプロジェクトは走っていますか?

今であれば、「働き方改革プロジェクト」とか「残業削減プロジェクト」などが旬のネタかもしれません。

「構造改革プロジェクト」、「新商品開発プロジェクト」、「原価低減プロジェクト」などもあると思います。

(ここで言う社内プロジェクトとは、社内の色々な部署からメンバーを集めた横断型の組織で、参加メンバーは日常業務をこなしながら、並行してプロジェクト活動に加わるものをイメージしています)

 

是非この手のプロジェクトに関わった経験のある方にお聞きしたいですが、社内プロジェクトの運営ってとても難しくありませんか?

過去に私も何度も関わったことがありますが、なかなか一筋縄には上手くいきません。
色んな失敗事例が浮かんできます。

 

今日は少しでも社内プロジェクトを上手く運営する方法を考えてみたいと思います。

 

社内プロジェクトの失敗あるある

まずは実際にどんな失敗例があるかという事で、“社内プロジェクト”あるある集。

・そもそもの目的が途中からわからなくなって迷走する

・社内プロジェクトに権限がないため、改革プランを部署に実行させられない

・経営トップ意志や優先度が下がり、やがて立ち消えになる

・日常業務を言い訳に、参加しないメンバーが出てくる

・社内プロジェクトへの参加を職場の上司や同僚が歓迎しない

・各現場がプロジェクトに必要な情報を出してくれない

プロジェクトに反対はしないけど決して協力しない古株社員の存在

・プロジェクトメンバー間で対立や反目が生じて迷走する

などなど

皆さんも目の当たりにしたケースがあるのではないでしょうか?

社内プロジェクトは注目度が高い上、時には既存のものを破壊したり既得権にメスを入れる場合が多いので、相当なパワーと戦術が求められます。
反対派も出るし、結果が見えない時の風当たりも強いものです。

 

社内プロジェクトを成功させるには

では社内プロジェクトの成功確率を高めるためにはどのような手立てが考えられるでしょうか?

特にこだわるべきは、
・経営トップの揺るぎないコミットメント
・プロジェクトテーマの選定
・プロジェクトメンバー選定
の3つだと思います。

1、経営トップの揺るぎないコミットメント

言うまでもありませんが、絶対に必要です。

2、プロジェクトテーマの選定

テーマ選定が大事というのは、テーマ自体に強烈な動機や切迫感がないと途中で頓挫しがちだからです。

例えば、世の中で残業削減が話題になっているからと、とりあえず残業削減プロジェクトを作って、各部署の社員に意見を出させます。

しかし各部署では残業削減より優先する問題点が沢山あるとしたら果たして上手くいくでしょうか?

「必ずしも今じゃなくても・・」みたいなテーマを推進していくのは非常に難しいです。

取り組む以上、そのテーマを放置することが会社にとっていかに危険か、解決して何を目指すのかなどを、わかりやすく伝える粘り強く伝えなければなりません。

3、プロジェクトリーダーの選定

プロジェクトの成否を握るのがプロジェクトリーダーとメンバーの選定です。

中小企業であれば、プロジェクトのトップに社長もしくは役員がつき、その下に実務上のプロジェクトリーダーがつくでしょう。


このリーダーが何よりも重要です。

プロジェクトリーダーに求めるべきは能力よりマインド、経験より行動力と持続力ではないでしょうか。

社歴の長さは社内を良く知っているという長所になる反面、会社の課題をフラットに捉えられず、過去の否定に抵抗感を感じる短所もあります。

 

以前私が関わった新商品開発プロジェクトのリーダーは課長クラスの女性でした。

転職してきて1年足らずで、元々は学校の先生やアート系の仕事経験が長く、ビジネス経験は多くない方でした。

見事だったのは、情熱です。
その商品を何としても形にしたいという思いが強いので、少々の困難があっても動じません。

プロジェクトメンバーによっては自主的に動かない人もいますが、毎日メンバーの席を回ってコミュニケーションしながら、メンバーの協力姿勢を引き出していました。

統率型リーダーシップではなく、サポート型のリーダーシップが、若手の意欲喚起に上手くマッチしていました。

4、プロジェクトメンバーの選定について

メンバー選定では、各プロジェクトのテーマに応じた経験や情報を備えている事が前提となりますが、ソフト面の条件としてはこんな感じでしょうか。

・壁のない人。誰とでもフランクに話ができ、柔軟で、組織の論理に捉われない
・会社を良くしたいと思う気持ち
・上司や周囲を説得、説明する力
・混沌や曖昧さを受け入れられる
・バックグラウンド(部署、社歴、男女、年齢など)は色々
・自ら立候補が望ましいが、気持ち先行で能力がついていかない場合もあるので、意欲と能力のバランスをみる
・メンバーの数を増やし過ぎない

中でも4つ目は盲点になりがちですが大事です。

社内プロジェクトはスタート時点でゴールが見えません。
何が解なのか、そもそも何が問題なのかを行ったり来たりしながら考えていく仕事です。
もやもやするし、膠着状態もしょっちゅうです。

普段の仕事では目標とやるべき事が明確な人の場合、このもやもや感がストレスになります。

乗り越えられれば大きな成長ステップになりますが、逆にストレスで自信をなくす人もいるので要注意です。

社内プロジェクトにおいて経営トップがすべき事

最後に社内プロジェクトにおける経営トップの大事な仕事を2つ付け加えさせてもらいます。

1つは抵抗勢力や変わりたがらない古株社員への対応。

トップ自ら対話し、気持ちを伝え、納得させることです。この役割をプロジェクトリーダーに投げたらうまくいきません。

どうしても説得できない場合、その人を重要な役職から外すなど、外科手術の覚悟もしなければなりません。

 

2つ目は社内広報。

社内プロジェクトの進捗状況、今起きている問題、粘り強く続けていく意志などを社員に発信していく役割は経営トップの仕事です。

プロジェクトの成果がなかなか出ないと、日常業務を優先するメンバーがいたり、「あのプロジェクトは所詮うまくいかないでしょ・・」みたいな発言をする外野が出てきます。

そういう雑音を一掃し、やり続ける意志を表明できるのは経営トップ以外いません。

 

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ゴーンショック時の日産のクロスファンクショナルチームの成功要因

社内プロジェクトの成功例というと、ゴーンさん就任時の日産の「クロスファンクショナルチーム」が有名で、色々な本や論文に取り上げられています。

成功要因は色々あったと思いますが、最大の理由は日産が背水の陣におかれ、外国人社長が送り込まれ、もはや逃げ場がない環境だったという所ではないでしょうか。

ゴーンさんはコミットメントの権化みたいな方なので、経営トップが徹底的にコミットしたのも大きな要因です。

テーマ別に様々な部署からメンバーを招集し、日産という大企業でありながら1テーマ10人ほどに絞って運営。
互いの対話を深め、ナレッジを結合させていくという組み立て、進め方も見事だったのではないかと思われます。

以上、「“社内プロジェクト”成功の鍵を握る人選と運営」でした。